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2009年10月29日 (木)

最高裁の門を2度くぐった

News & Letters 146

この10月、1ヶ月に2度最高裁の門をくぐった。
1つは四国銀行の不正融資事件
これは、会社への監査請求と地裁への訴状を私が書いたが、それ以降は弁護士に任せた。
概ね、私の考え通りに進めてもらったと思うが、
二期に渡る不正融資のうち、一期目の9億5千万円の追求が弱かった。これは県のころがし直融資を当てにして銀行が闘犬センターに融資したものである。本来は、この県の直融資の闇性を徹底的に追求すべきであった。銀行側は、県の融資の正当性を盾にして、一期のみならず二期目の融資(8億円)も責任なしと主張してきた。
第1審、2審の焦点が、あたかも、その県の融資の現実性の範囲がどの程度確実であるか、というようなところで争いとなったのである。
そうではなく、県が担保したとする第一期の融資こそを、最大の焦点にすべきであったのである。
県がでたらめな闇金融絡みで破綻状態の会社をバックアップしようとしたこと、しかもその手法(ころがし)は、県の規則を無視していたこと、そのような無法不正な県の措置(支出の約束念書)を根拠にして、多額の銀行資金を貸し出したこと、しかもそれが全額焦げついたのである。
弁護士に任せた結果この点の主張が後退してしまったのは残念であった。その結果、第一審では第1期の融資は全額免罪され、第二期のほとんど最後尾の1億円余の融資だけが有責とされただけだ。第2審に到っては一期二期丸ごと免罪されたのである。
最高裁では銀行側は、県の直貸しの現実性(可能性)を盾にし、第一期の責任をのがれ、その可能性を出来る限り第二期融資にまで延々と延ばそうというこれまでの作戦でやってきた。
きたる11月27日の判決が第二期のみならず、第一期の融資の不当性までどこまでせまってくれるか、極めて不安である。
勝には勝っても、辛勝なのか、大勝なのか、県の闇融資とそれと連動した銀行の不正融資に鉄槌を下す判決が出ることを願う。

さらに、問題は、弁護士費用だ。
こんなでたらめな融資をやって訴訟されたものを、被告らは、会社の金を使って多額の弁護料を払って裁判を遂行した。裁判費用はもとより弁護士の数からして億単位の費用が係ったと思われる。
また、敗訴となれば相手側弁護士費用も支払わねばならない。
これらは、新たな株主訴訟の対象となる。

今ひとつの最高裁事件。
田島毅三夫町会議員へのリコール請求事件である。当時の選管が、請求代表者に農業委員が入っているから集めた署名簿は全て無効だという処分をした。選管委員長からこれについてどうするべきか相談があったので私は私の意見を述べた。
地方自治法等法令に照らしても、何も問題がないと答えて、法令をひもといて何度も詳しく説明をしてきた。しかし、当時の選管は、50年前の最高裁判例を盾にして、議員解職の請求代表者に農業委員などを含む場合はその集めた署名簿は全て無効だと決定したのであった。
選管の意見と長としての私の意見は相違した。
個人としては正反対であるが、それでも長としては、選管の責任を取る立場にある。

この事案については、司法界はもとより学会も明確な判断は存在していなかった。
最も近い考えを持つ元立命大教授の安本典夫氏の説も首尾一貫せず混乱があった。
私の説は、一貫している。
地方自治法の直接請求の法令では、農業委員が問題となる公職選挙法の準用規定は、解職の住民投票段階に適用されるのであって、その前段の請求段階ではない、東洋町の場合はその前段で終わっているのであるから公職選挙法の適用は無く、農業委員も請求代表者たり得る、というのである。
法令の規定では、署名簿を集める解職請求段階と、選管による住民投票段階とは画然と区別されているし、また、そうしなければ直接請求制度は成りたたない。最高裁や町の選管の言うとおり、署名簿の請求段階でも公選法が適用されるとなれば、署名を取ったり戸別訪問をしたりすることは現行の公選法では固く禁じられているから、署名活動自体ができなくなるのである。
関係法令には公選法が適用される場面での規定には、すべて、「解職の投票においては・・・・」という前置きがもれなく明記されているのである。
この事案についてのある討論会で、法令がよく分かっていない弁護士の1人が、「その前置きは絶対のものですか、絶対なものではない・・・」という主張に対して私は、厳然と言った。
「絶対的なものである。」と。
法令が分かっていないと言うよりも、国語力が劣っているとしか言いようがない。
私はその弁護士から「あなたは法律が分かっていない」とののしられもしたのであった。

このような明白な法令の規定とその意義がどうして分からないのであろうか。それらの規定を無視し、敢えてリコールの署名簿を全部無効だ、反故だというのには相当な政治的思惑が働いているとしか考えられない。
私は、選管の取った処分は、違法であるばかりか、偏った政治的傾向によっていると考えている。
裁判所や県や町村のこれまでの判断も同様である。

私のこの件に関する法令の解釈については、東洋町のリコール請求の町民以外は、最後まで誰も賛同しなかった。だが、最高裁はこれを認めた。
やがて、
国民(今回は公務員)の参政権の重要な一角である直接請求権について、確乎とした判断が下されると同時に、裁判における偏見と偏った政治的傾向の実例について、国民は見るべきものを見るべきであろう。農業委員とは言わず全ての公務員は、直接請求の代表者となって署名活動を呼びかけることが出来る。これが現行法だ。
ただ、住民投票段階では、公務員は請求代表者を続けることは出来ないという限界が設けられている。
この限界はまた、新たな憲法問題でありうる。

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