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2008年12月 7日 (日)

東洋町選挙管理委員会の責任

News & Letters/138

一昨日、リコール署名簿無効についての選管の決定に対する取消訴訟の判決(高知地裁)があったことは既に報じられたとおりである。
その判決の行政事務上の意味について、関係者が少しも自覚していない様子であり(山岡七三十四選管委員長の記者談話では「ほっとした」と発表されている)、また、マスコミもその視点での考察がまるでないので一言しておく。

続リコール裁判の末尾に私が簡単にコメント(付言)したように、この判決はほかならぬ町選管の職務上の瑕疵をみとめたものである。
資格のない農業委員に請求代表者としての資格証明書を発行した、その資格証明書に基づいて住民が署名収集を行った、という一連の事実が間違いだったという判定が出たのである。

請求代表者の資格審査をし、資格証明書を発行したのは町選管だった。
選管は、瑕疵があった、間違っていたから無効だ、と胸を張って主張し続けた。自分らがやった失敗については謝罪もせず、反省もせずに。
町長は、請求代表者の資格証明における選管や町側の瑕疵はなかった、と主張してきた。

法令に照らしても農業委員が直接請求の代表者になっても構わない、と主張してきたのである。

行政実例でも、他の直接請求は別として、解職請求における請求代表者の資格証明の選管側の主要な任務(審査)はその者が公務員であるかどうか、である、とされている。行政実例は公務員は請求代表者になれないという立場をとっているから当然資格審査を重視している。

今度の判決には「瑕疵」があったとしか明示されていないが、仮に地裁判決が正しいとして行政事務上において起こったこの「瑕疵」はそれでは誰が犯したものかが問われてくる。
住民側の自己責任といえるだろうか。
仮に住民側に責任があったとしても、法令に資格審査を義務づけられている行政側の責任は免れない。

しかし、地自法・令ではこの資格審査については、有権者であるかどうかを確認せよとしか書かれていない。なぜなら、法令では公務員は直接請求の代表者になれないという前提が存在しないからである。法令では有権者であれば誰でも請求代表者になれる、という規定があり、ただ、解職投票段階になれば選挙と同一の事務が必要なので公務員を排除すると制限規定をおいているだけなのである。

最高裁判例や高知地裁の判決文のとおり、農業委員など非常勤の公務員や公務員そのものを請求代表者から排除するということであれば、資格審査は厳格でなければならない。単にその地に住居を有する有権者であるか、という確認で済むわけにはいかない。公務員を請求代表者として認めないという立場に立つ行政実例(例えば昭和32年11月9日自治省)が言うとおり、「主として公務員であるかどうか」などその者の職業に至るまで調査する義務が設定される。「調査の方法としては、直接、代表者本人について調査するほか、その者の登録されている選挙人名簿の属する市町村その他の関係市町村若しくはその機関又はその者の勤務先に対する照合等、必要に応じて適宜の方法をとるべきである。」と回答されているとおりだ。

公務員を排除するというのだから、市町村役場や、農業委員会や教育委員会などの機関にも照合することが義務づけられると言うのは合理的な義務だ。
選管がその任務を怠たり、農業委員に解職請求代表者資格証明を発行したという重大な「瑕疵」はここで当然問題となる。

選管側は、そこまで審査をする義務は法令で定められていない、法令では有権者かどうかの確認で良いことになっている、と主張しても、その法令は、もともと公務員排除を予定していないものなのである。
一方では、法令を拡大解釈してまで、公務員を排除し、他方では、自己の責任を免れるために公務員排除をしていない元の法令に拠ろうという。
審査の責務も、解釈拡大した「法令」の範囲で拡大しなければ、つじつまが合わないというものだ。

逆に言えば、公務員かどうかについては選管に審査の義務がないという法令の規定があるのであれば、もともと請求代表者に公務員は排除されてはいなかったという法令の趣旨に立ち返るべきであろう。
いずれにしてもこの裁判は最高裁にかからずんぱあらず、ということになる。
しかし、高知地裁の判決の結果は選管の行政実務に関わったものに重大な責任を突きつけていることを知らなければならない。

取消の今回の裁判の外に、東洋町選管は、リコール請求者から国家賠償法に基づく巨額の損害賠償の裁判をされている。
選管のミス(瑕疵)である農業委員を含む間違った資格証明書を受けて無駄な署名運動をした、その損害を支払えと言うものである。
今回の判決でその間違い・「瑕疵」が認定された。

「ほっとした」という選管委員長の錯乱した心情はどっからでてきたのか。選管の責任を感じた心情ではなく、リコールされる議員と同じ心情を吐露したというべきであろう。まさに ご乱心 であり、
 方寸錯乱如何ぞや  である。

そのほかにも今回のリコールを巡る東洋町選管の手続き上の異常・違法さは驚くべきものがあり、国賠法の現在係争中の裁判で暴露されつつある。
裁判所は知らず、今後、行政上のその責任は別途に厳正に追求されるべきだろう。

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