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2008年12月 4日 (木)

リコール裁判の第一審判決

News & Letters/135

  リコール裁判の第1審判決
     最高裁判例が覆るか

明日、平成20年12月5日午後1時10分高知地裁において東洋町町会議員の解職請求(リコール)に関する裁判の判決が下される。
この判決は極めて重要で、昭和29年の最高裁判例がそのまま踏襲されるか、それとも、正しく法令が解釈されて最高裁判例が覆り、住民のリコール請求が成立するか、予断を許さない。

ひとり、東洋町だけではなく、公務員の参政権が直接問題になるという点で、全国的な問題である。
地方自治法によるいわゆる百日裁判なので、最高裁判例一点を盾にする町選管側はともかく、住民側には十分主張を出す暇がなかったという憾みがあるが、しかし基本的な争点ははっきりしている。

この裁判の争点は次の通りだ。

第一は、現行法令解釈の問題
     住民側は現行法令でも署名集めなどの直 
     接請求の段階では公選法の準用はなく、
     今回のリコール請求は適法である。
     とする。

本年3月東洋町住民が法定署名数以上の署名簿を持って議員解職請求を行った。請求書提出の段階で町の選管はこれを全部無効とした。
非常勤の公務員である農業委員が議員解職の直接請求の「請求代表者」に名を連ねていたことがその理由であった。選管や最高裁判例は、非常勤でも常勤でも公務員は議員解職請求の直接請求代表者になる資格はなく、その者が請求代表として名を連ねて掲示している署名の収集は「成規の手続き」に則っていないから、集めた署名簿は全て無効という。
その法令上の根拠は、明文上は何もないが、地方自治法施行令の第115条の読替規定で公選法が直接請求代表者に準用されると解釈する。

しかし、地方自治法では公選法の適用は直接請求の住民投票以降であると明記されており、その令115条の規定も解職請求の住民投票の段階で公選法を準用し「直接請求代表者」を「公職の候補者」と読み替えると明瞭に書かれている。法令は、明らかに署名収集や署名簿提出までの請求段階に適用される法令と、その後選管の署名簿の審査を経て行われる住民投票段階に適用される法令を判然と区別している。重要なのでこの115条の条文を紹介する。

「地方自治法第八十五条第一項の規定により、普通地方公共団体の議会の議員の解職の投票に公職選挙法中普通地方公共団体の選挙に関する規定を準用する場合においては、次の表に掲げる同法の規定中同表の中欄に揚げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

最高裁や町選管は、「議員の解職の投票」に公選法を準用するという規定は、解職請求の最初の事務的な手続きや資格証明以降住民投票に至る一連のものとして公選法を準用する趣旨だ、というのである。この解釈については現在多くの学者が法令の規定を無視するものであり、認めがたいと批判している。学者は直接請求に関しては、
それを定めている地方自治法・同施行令において、二段階または二重構造になっており、署名集めの請求段階と、それに基づく住民投票段階の法令の準用については明確に区別しているし、しなければならないとしている。

争点の第二、憲法違反の問題

仮に、最高裁の解釈が正しいと仮定しても、施行令で元の法で許された人民の権限を制限しても良いのか、という問題である。また、公選法では農業委員は地方自治体の公職の候補者になることが許されているが、国の法律で可とされているのに、政府の命令にすぎない施行令でそれを許さない等ということが通るのであろうか。

これもこの最高裁判例を巡る批判で多くの学者が指摘するところであるが、地方自治法第76条などで認められている、有権者であれば国民誰でもが有する直接請求の権限を、政府の政令にすぎない施行令で制限しても良いのか、

また、公職選挙法の規定では、農業委員はその身分のまま地方自治体の公職の候補者となることが出来るのに、施行令という政府の政令でそれを不可とする事が出来るのか、公選法に準ずると良いながら、公選法を超えた権利の制限をして良いのか。
また、地方自治法第85条などで、公職選挙法の直接請求への準用はあくまでも住民投票の段階であると明記されているのに、同法の施行令で直接請求の全過程に適用するという法を超えた規制を加えることが出来るのか、

地方自治法は憲法41条に基づく国会の審議を経て定められた国法であるが、その施行令は時の政府の意志(恣意)によって変改がある下等な立場の規定にすぎない。国民の権利を制限するには、国会の審議を経るのは当然であり、内閣の恣意によることは憲法41条違反である。

以上、今回の裁判の争点は
一個の反動的な人士を議会から追放するかどうかという小さな問題ではない。
この裁判は、法が許している公務員(特に農業委員など膨大な数の非常勤の公務員まで)の直接請求権をみとめるのかどうか、という国民的な裁判であり、東洋町住民が、古色蒼然とした半世紀まえの最高裁判例をひっくり返し、国民の公民権への圧迫をはねのける重大な闘争を切り開いたものである。
だから、多くの国民のみなさんの関心と正しい評価をお願いする次第である。

マスコミの記者も、法令や学説の研究もせず、いい加減な記事を書くべきではない。

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