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2008年2月24日 (日)

高レベル放射性廃棄物の東洋町での騒動について幹部職員の責任

News & letters 68/高レベル放射性廃棄物の東洋町での騒動について幹部職員の責任

東洋町の懲戒審査会の「答申」はその責任は何もなく、処分に該当しないというものであった。
懲戒処分審査の対象になったのは、当時の課長クラスの幹部職員であり、それの責任の有無を審査する委員に任命されたのは、若手職員7人であった。
それが今日の高知新聞に大きく載った。
結論から言う。
彼らには重大な責任があった。この責任は彼らが一生背負わねばならないものであり、東洋町役場の恥の歴史の中で特筆されるべきものである。

「答申」が言うのには、彼ら幹部は昨年平成19年1月25日の2回目の応募があるときまで知らなかったという。こんな答申をだれが信じるだろう。

彼らは十分知っていた。平成18年3月20日の最初の核受入の応募のこと、その応募書が原環機構から3月28日頃に戻された直後(4月3日頃)には、2階の一室で町長からパンフレットを配布され説明を受けたこと、そして、少なくとも3人以上の幹部職員は、すでに町長が原環機構に応募をしていたことも知らされていた。
そして、町役場で議会と執行部が「勉強会」をはじめていたこと、さらにおおっぴらに役場に関係当局を呼び込み町民の各団体に説明会を始めていたことも、知っていた。彼らは新聞を読んでいるから、私が室戸市議会で暴露するのを契機に新聞社が東洋町の核導入の動きを公表したことも、それ以降多くの人が反対運動に立ち上がったことも、知っていた。
彼らは町長等執行部とともに月曜日から金曜日まで一緒に過ごし、時には庁議にも参列していた。
非民主的な手法で訳の分からない連中と一緒になって前町長らが暴走をしている事実も目の当たりにしていた。ある幹部が、核導入で交付金をもらうという策を、「これしかない」と言って机をたたいて支持した事も勿論知っていた。
しかし、彼らは何もしなかった。公務員として自分の命どころか職を賭すなど考えたこともなかった。
前町長等の暴挙は、東洋町の総合計画にも、集中プランにも、その年の予算書にも、議会での正式の所信表明などでも何にも記載されていず、明らかにされていない事柄であるということも、知っていた。
東洋町の美しい自然を守るという憲章や核反対の議会決議書にも反すると言うことも知っていた。しかし、東洋町の幹部職員も、職員組合も沈黙を守った。この場合沈黙は、町長等執行部に賛同するという以外なにも意味しない。それは町民にとっては不気味な存在であった。

ときどき新聞などに出てくる言葉がある。
それは、noblesse oblige (ノブレス・オブリージ)という言葉だ。英語で言えば 
  noble obligation ということだろう。
公務員や貴族など特権を持つ者は、それに見合った義務がある、と言う意味である。
ノブレス・オブリージというのは
  Prestige entails responsibility とも訳されている。
戦争でいえば将校は、兵士よりも勇敢に戦い戦死率が高いということになる。
権力執行という特権を持ち、高い俸禄をもらうのは、
それに相当する高尚なる義務の遂行があるからである。

新聞記事には、いまさら、核廃棄物の問題を問うてなんになるんや、と言う職員がいたという。本当にいたかどうか分からない。新聞記者一流の想像的取材であろうか。
圧倒的多数の町民が必死にふるさとを守ろうとしているときに、一度も自分の意見を表明せず、汲々として自分の身分のみを考えていた、そういう公務員であったということについて、これから一生考え続ける必要があると思う。
新町政は、核に反対する町民と全国の民衆の期待を受けて樹立された。東洋町の核騒動でどう対応したのか、その年度の総括の時にあたり、また人事異動の時を迎えて、繰り返し反省材料にするであろう。
普通の町民が忘れても、町職員は、この前の騒動については千秋万古忘れて叶うまじきことである。

審査会の「答申」の末尾に職員の責任問題を問うよりも「危機管理体制」について考えるべきだという意見が載っていた。笑らかすな、といいたい。
自分の生活を守ることだけで何もせず、住民の生活やふるさとの自然を守ることについて先頭に立って発言し、行動するぞという職員の不存在では、何の危機管理ぞや。
いずれにしても東洋町の職員の意識状況はまだ、あの当時と同程度に低迷中である。

現在東洋町では週一回の庁議が開かれ、役場のすべての問題が論議され協議される。また、職場会議が開かれて職員一人一人が庁議事項や課内の業務について討論し、周知徹底がはかられる。
また、予算の査定はもとより総合計画や懲戒審査会など町長の権限の行使について十分意見表明の機会が与えられる。町長の秘密行政、独断専行は全く不可能な体制だ。

かくて、東洋町平成19年度の核騒動の教訓と反省は永続的に厳しく受け継がれる。

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