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2007年7月17日 (火)

News & letters12

    国論を二分するほどの政治的課題として
    日本の原子力産業と対決するべき

今次の参院選挙でも原発や核廃棄物等原子力産業についての問題を掲げて立候補した人はほとんどいないようです。私は非常に残念です。

原子力産業の是非の問題は、日本の最大の政治課題だと思います。年金問題や行革やら生活上の様々な問題があります。しかし、核の問題はそれらを遙かに超越した、人類の生存に直接関係する重大事案です。原発がある各所では熱い問題となって紛糾していますが、それが国民的な問題として政治化していないのはどうしてでしょうか。地震多発国である日本では核の問題は、今日も明日も直ちに広範囲な地方で多大の人間の生命に関わる事件に発展します。関東周辺で原発事故が起こったら首都圏が機能麻痺に陥るし、福井県で起こったら中部地方や関西圏にまで災厄が降りかかってきます。佐賀県の玄海原発に問題が起こったら、九州の中心部分が麻痺状態に陥るでしょう。

日本の首都圏など大都会が放射能でやられるとしたら、日本経済は破滅的状態になり世界経済を直撃することになります。今回の中越沖地震で柏崎・刈羽の原発がメルトダウンを起こさなかったのは、その方がむしろ奇跡的な幸運であって、変電所の火災事故、放射能汚染水の放出ぐらいですんだことが不思議なほどです。私は、このままでは必ず55基のうち一つや二つがチェルノブイリ級の大惨事を起こすことは間違いないと思います。

事故が起こらなくてはその危険性がわからない、では話になりません。人類として最低だ、ということになります。既成の政党、左翼を名乗るいろいろな団体がありますが、原子力の問題を現代の最大の課題として取り上げて戦うというのが全然ないのが信じられません。私も、つい1年前までは、原発に反対はしていても、これが自分が取り組むべき最大の政治的課題であるとまでは認識していませんでした。

何物も捨てて、この問題に取り組まなければならないと言うことがわかったのは、東洋町という自分の足下に核廃棄物が導入されるという事態になって猛勉強をしてからでした。

  湯川秀樹博士の言葉

ある年取った音楽家の家で私は偶然湯川秀樹博士の本に出会いました。ずっと昔60年代に私は京都で湯川博士のシンポジュウムに参加したとき、学生の質問に対して博士は「原発も原爆も同じだ」と答えたことを今でもはっきり覚えています。
最近出会った博士の本(創造への飛躍」(講談社1968年)には、こう書いてありました。

「原子力の問題は人類全体の問題である。しかもそれは人類の頭脳に貯えられた科学知識に端を発するものである。この問題の根本的解決もまた、おそらく人間の心からはじまらねばならないであろう。それは人類の進化の途上において、その運命を決定する新しい問題として現れてきたことの認識からはじまらねばならない。原子力の脅威から人類が自己を守るという目的は、他のどの目的よりも上位におかれるべきではなかろうか。人類の繁栄と幸福とは本来何人も異論することのできない共通目的のはずである。しかしそれは現実においては多くの場合、各人の生活からかけ離れた理想にすぎなかった。

現実においては各人はもっと切実な動機によって動かされてきた。人類の繁栄と幸福が究極の目的であるにしても、そこに至る道筋が何であるかについては、多くの異論がありえた。かつてはいかなる宗教を信ずるかが、人間の集団行動の決定的因子であったこともある。そのためには長年月にわたる戦争さえも辞さなかったのである。現代においては国家目的の達成が明確に最上位におかれた。さらに近くにはそれが、どのような社会形態を最上と信ずるかという問題と、より密接に結び・しかし、原子力の問題は人類の全体としての運命にもっと直接に関係する新しい問題として現れてきたのである。

これを転機として、人類の各員が運命の連帯に深く思いをいたし、原子力の脅威から自己を守る万全の方策を案出し、それを実現することに、いままでよりもはるかに大きな努力を払わなければならない段階に入ったのである。そしてそれは人類がその繁栄と幸福とに、もっと直接につながる人類的共同体の実現への一歩を踏み出すことでもあるのではなかろうか。

私は科学者であるがゆえに、原子力対人類という問題をより真剣に考えるべき責任を感ずる。私は日本人であるがゆえに、この問題をより身近に感ぜざるをえない。しかしそれは私が人類の一員としてこの問題を考えるということと、決して矛盾してはいないと信ずるものである。」

湯川博士のこの言葉は、いかなる革命家の政治的演説よりも現実性を帯びていると私は思います。
原子力の脅威から人類を守るという目的は、他のどの目的よりも上位におかれるべきだ、という博士の言葉以上のものを、今我々は何も持つべきではないと思います。博士が指し示してくれた人類の最大の政治的課題を、今こそ大きく掲示して日本の国民が全世界に呼びかける必要があると思います。

今次の参院選にその政治課題が影も形もないというのはいったいどうしたことであろうか。
原子力、放射能の脅威は化石燃料などによる地球温暖化よりも急速に人類に打撃を与えると考えられます。人類を救済する新しい政治勢力が登場し、その圧倒的な勢力の旗が京師の大通りに翩翻(へんぽん)と翻る日のために、同志たちが糾合する必要があります。

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原子力産業の是非」カテゴリの記事

コメント

  原発は本当に必要なのか?

昨日長崎での応援演説を中止し、新潟中越沖地震への罹災地を訪問した安倍三首相。まっさきに駆けつけたのは柏崎原発だそうです。それこそ最重要国策である原子力政策であることをあらわしていますね。

 東京電力柏崎原子力発電所。中越沖地震で変電所が火災になり、放射性物質も海と大気中へ流失しました。結果的に見れば軽微な事故であったかも知れませんが、労災のテキストと言われる「ハインリッヒの法則」からすれば大変な事例であると思います。

 ドイツの原発も変電所の火事でした

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_b49e.html

 例によって「報告が遅い」状態であり、まだまだ「隠し事があるのではないか」と疑念を持ちます。今までがいままでであったからです。信用ができませんね。

 東京の電力消費の7%が柏崎原発が発電しているとか。運転停止にして点検と再発防止策をするので簡単に運転は再開できない。真夏の電力消費のピークではショートする心配があるため休業していた火力発電所を稼動させる計画であるとか。

 となると原発が「地球温暖化対策」になるとは思えない。火力発電所が常にバックアップ体制で整備されていないと駄目でしょうから過剰な投資ですね。
 
 また市民も「電気浸り」の生活を改めつべきですね。暑さの中エアコンを使わないことにしませんか。とても辛いですが早朝から働くとか。昼寝するとか。ライフスタイルを変えたら乗り切れると思いますね。原発依存体質を改めるべきでしょう。

投稿: 西村健一 | 2007年7月17日 (火) 20時34分

 原子力発電にはいろいろな意味で継続困難でしょう。今回の地震により放射能漏れがありました。震度6強こんな大きな地震が起こる場所に原発が建っているのですから。地震大国日本どこを探しても地震に対し、他に津波に対しても安全といえる場所はないでしょう。
 三号機で起きた火災も消化までに一時間、数人で消火活動にあたり、消防車を呼んで鎮火に至るということでもし、もっと大きな放射能漏れが起こったならばいったいどうやって、安全を守ることができるのか。本当に恐ろしいです。
 安倍首相が行くのも結構ですが、その前に消防車をもっと早く呼んでいただきたい。
 現在事故や不正により動いていない原発もありますが、電気がとまったとか供給が困難になることもない。実際原発を全部止めてしまっても真夏の数日間以外は供給不足にはならないだろう。
 この一年で周りの友達も原発について色々調べるようになりました。そこで、原発の危険が人類の生命に与える影響の大きさを知り大変なショックを受けています。
 一日でも早く原発が止まってくれることを願っています。

投稿: とんぼ | 2007年7月17日 (火) 23時09分

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